インタビュー

フクロウ2

岡山大学教育科学専攻に入られた理由(きっかけ)は何ですか?

東京藝術大学音楽学部楽理科(音楽学)在学中に歌手デビューし、無我夢中でうたってきました。その間、常に「音楽とは何か」という問いが私の中にありました。ハンセン病療養所と深くかかわるようになり、2014年、千葉県から岡山県に移住しました。瀬戸内海には3つの療養所があります。だれもやっていない「ハンセン病療養所の音楽文化研究」をするべく、教育科学専攻の第1期生になることができました。2018年、47歳のときです。

沢 知恵(ハラ チエ)

フクロウ2

教育科学専攻での日々はいかがでしたか?

歴史、数学、体育、理科など専門のちがう仲間とともに過ごした日々は、まさに青春でした。1年目のPBLでは、「差別」をテーマに5人で映像を制作しました。障害児教育、教育哲学の先生方に導いていただきながら、修士論文に直結する学びをすることができました。修士論文でも、音楽以外の先生方をつかまえて質問しまくり、刺激と励ましをたくさんいただきました。ぜいたくでした。教育学研究科の先生方は最高です!

フクロウ2

教育科学専攻での学びは、今のお仕事に役立っていますか?

歌手活動と並行して研究をつづけています。終わりゆくハンセン病療養所をどのようにのこすか、大事な局面に入っているいま、研究と表現による発信の両方が重要です。本質を掘り下げ、体系的なことばをもつことは、私にとって必要でした。知れば知るほど、知らないことが出てきます。立ち止まって多角的に考える姿勢を身につけたことは、生活のあらゆる場面で役に立っています。欲張って、科目等履修で中高の教員免許も取りました。

フクロウ2

教育科学専攻への進学を考えている方へ、一言、お願いします。

働きながら、二人の子育てをしながら通いました。ひとり親家庭です。中学生の子どもたちには負担をかけましたが、「ママ、なんだか楽しそう」と応援してくれました。「学び直し」という言い方は、私にはピンときません。学びはいつだってあたらしい。年齢は関係ありません。学びたいと思ったときがベスト・タイミングです。大変に思われても、志があればなんとかなります。あなたも一歩を踏み出してみて!