養護教諭を目指す方へ-よくある質問のQ&Aです-

1.養護教諭養成課程では、どんな免許がとれますか

 養護教諭養成課程は、優秀な養護教諭を養成することを目的としています。したがって、養護教諭一種免許状の取得ができます。また、必要な科目の履修(実習を含む)を追加することで中学校教諭一種免許状(保健)、高等学校教諭一種免許状(保健)を取得することができます。その他の教育職員の免許を取得することも可能ですが、お勧めはしていません。主として小学校や中学校教員の免許などの取得を目指されるのなら、学校教育教員養成課程を目指されるべきです。

2.養護教諭養成課程では看護師の資格はとれますか

 養護教諭になるために必要な看護学やそれに関連する科目は必ず学ぶことになりますが、看護師の資格は取得できません。

3.養護教諭養成課程ではどんな科目を勉強するのですか

 入学後は、全学共通の教養教育科目と教育学部の専門科目の学習が始まります。養護教諭は学校の先生ですから、学校の先生になるために必要な共通科目(教職に関する科目)を学習します。そして、養護教諭についての理解を深め、養護教諭の仕事をするために必要は知識や技術について知るための科目(養護専門科目)を学びます。主に大学の教室で学ぶ科目のほかに、岡山大学病院、附属学校園や地域の実習協力校での実習もあり、学習したことが十分身につくようにカリキュラムが編成されています。

 なお、養護教諭養成課程には、養護教育と地域教育の2コースがあります。地域教育コースは、岡山県北で勤務する養護教諭を目指し、県北地域をホームタウンとして学びを積み重ねてく特色がありますが、養護教諭の知識と技術は養護教育コースの学生と同じカリキュラムで身につけます。

4.入学以前にどんな準備をしておくと良いですか

 養護教諭は教員ですから、よき社会人としての幅広い教養が必要です。したがって、偏りなく広く深く勉強されておくとともに、スポーツや芸術を愛する心も養っておかれるとよいと思います。どんな仕事を目指すときもそうでしょうが、養護教諭を目指されるなら、養護教諭の仕事について少しでも理解を深めておくことはよいことです。実際に養護教諭の先生に色々お話を伺ってみてはいかがでしょうか。

5.養護教諭の免許をとったら必ず養護教諭になれるのですか

 養護教諭の免許の取得は卒業するための条件ですから、卒業時に取得できますが、実際に養護教諭として働くためには、公立学校の場合は都道府県(政令指定都市を含む)の教育委員会が実施する教員採用試験に合格して採用されるか、臨時採用等の養護教諭・養護助教諭として採用される必要があります。したがって「養護教諭免許=必ずなれる」とはいえません。でも、養護教諭になりたいという気持ちを、持ち続けてがんばったのちに、採用試験に合格して活躍している先輩がたくさんいます。チャンスはあなたにも開かれているはずです。

6.教員採用試験は難関だと聞きますが…

 一般論として、教員採用試験に合格することは簡単なことではありませんが、年度や募集単位(つまり都道府県や政令指定都市)ごとに差があります。したがって、将来働きたいと思う都道府県や政令指定都市の採用状況等をホームページや就職関連雑誌などで納得できるまで自分で調べてみることをお勧めします。

7.入試について質問があるのですが(試験科目は何ですが、総合選抜入試についてなど)

 入試については、岡山大学ホームページの入試案内をご覧ください。総合型選抜と一般選抜(前期日程)小論文・ペーパーインタビューです。

 なお、養護教諭養成課程地域教育コースは、岡山県北地域プログラム選抜(学校推薦型選抜Ⅰ)です。

8.養護教諭養成課程を卒業したあと進学を考えていますが…

 岡山大学は、大学院教育学研究科として、専門職学位課程教職実践専攻(通称:教職大学院)と修士課程教育科学専攻が設置されています。今まで多くの修了生が出ており、教育現場で活躍しています。教職大学院は、高度専門職業人としての養護教諭を養成し、研究的な視座から、よりよい教育実践に持続的に取り組む「アクションリサーチャー」としての養護教諭の資質・能力を身につけることを目指しています。修士課程は、教育を開拓的に広く捉え、教育の可能性を拡げることを追究し、個人や社会を取り巻く諸環境を理論的・実践的に分析し、そこに内在する本質的な教育課題を解決していく資質・能力を身につけることを目指しています。養護教育の専門性を追究し、実践と研究をすすめていきます。さらに進学したい人には、兵庫教育大学連合学校教育学研究科(博士課程)があります。詳しくはそれぞれのホームページをご覧ください。


 岡山大学大学院教育学研究科ホームページ
 兵庫教育大学連合学校教育研究科ホームページ

9.大学院(専門職学位課程・修士課程)に進学して良いことは何ですか

 何がよいことかは、その人が何を求めるかによって違いますが、入学前に養護教諭一種免許状を取得している場合には、大学院を修了するときに養護教諭専修免許状を取得できるほか、専門職学位課程教育実践専攻(通称:教職大学院)では、教職修士(専門職)、修士課程教育科学専攻では、修士(教育学)の学位を取得することができます。通常は2年間(現職教員の場合は特例あり)で修了します。その間に授業や実習などを通じて学習を深めるとともに、教職大学院では、自己課題・学校課題解決にむけた実践報告に取り組み、修士課程では、養護教諭の専門性から導き出したテーマで研究をすすめ、修士論文に取り組みます。したがって、自分が求める課題やテーマについて、実践・学習・研究することが可能です。
 また大学院修了後採用されると、初任給が修了年限程度学部卒業者に比べて高いことも良いことですね。

10.留学をしてみたいと思うのですが、何か制度はありますか(主として学部学生

 岡山大学教育学部は、海外の協定大学と学生の交換を行っていますし、岡山大学全体が海外のいくつかの大学と短期交換留学協定を結んでいます。この制度を使うと、海外の大学で学習し多くの経験を得ることも可能です。養護教諭養成課程の学生がこの制度を使って海外に留学した例もあります。

11.特別別科に行くか、大学院に行くかで迷っています

 看護師免許を有し、特別別科の課程(一年)を修了することで、養護教諭一種免許状が取得できます。看護師免許があって保健師免許がない場合(例えば看護専門学校を経由する場合)には、一年で養護教諭一種免許状を取得できます。ただし、特別別科は大学に附置されている養成機関なので、学士の学位取得はできません。また、大学や短期大学出身者で、すでに取得している単位があっても、それは養護教諭免許の認定には認められません。
 大学院の場合は、9.に書いたとおりです。
 なお、特別別科を修了して、養護教諭一種免許状を取得すると(取得見込みも含む)、大学院の受験資格を得ることができます(注)。特別別科から大学院に進学する人はいます。この場合、大学院修了時には養護教諭専修免許状と修士の学院が取得できます。すなわち、最終学歴は大学院修了となります。
 8月に行われる大学院、特別別科のオープンキャンパスなどに参加して、情報を集めご自分でよく考えて選んでください。

 (注)「大学院及び大学専攻科の入学に関し大学を卒業したものと同等以上の学力があると認められる者の指定(昭和28年文部省告示第5号・平成11年8・1日一部改正)」の「10.教育職員免許法による小学校、中学校、高等学校若しくは幼稚園の教諭若しくは養護教諭の専修免許状又は一種免許状を有するもので22歳に達したもの」

12.特別別科在学中の教員採用試験受験は可能ですか

 養護教諭一種免許状取得見込みということで出願可能です。一般論ですが、学部学生が入学後2年次の終わりくらいまでに学習する教養科目、教職に関する科目、養護専門科目を、一年間で学ぶことになりますから、7月頃にある教員採用試験を受けるためには、かなりの努力が必要です。授業と養護実習があってかなり忙しいです。そうはいっても、特別別科在学中に合格される人は毎年います。また採用する教育委員会によっては看護師免許を持っている人に加点することを明示している場合もありますのでぜひチャレンジしてください

13.特別別科と学部の指導は分離しているのですか

 授業についていえば、特別別科の学生のためだけに開講される授業もあれば、学部学生と共通で受講するものもあります。岡山大学養護教諭特別別科では学生を5~6名程度にグループ分けをし、それぞれに指導教員を決めて指導をしています。この指導は養護教育講座の教員が担当し、今まで教育系にあまりなじみがなかった人たちにガイダンス的な指導をしています。また、それぞれの教員には学部学生や大学院生が配属されていますから、色々な立場の人と出会うことが可能です。看護学を学んだ後、養護教育や教育学について専門的に学ぶ人々に出会うことは、養護教諭として活躍する時に役に立ちます。

14.養護教諭になるのが最終目標ですが、看護系に行くか教育系に行くかで迷っています。養護教諭になるのはどちらがよいでしょうか

 よくある質問ですが、答えるのが難しい質問のひとつです。なぜなら、養護教諭になるには現在の制度ではいくつもの道があり、そしてそのいくつもの道を歩まれた、たくさんの養護教諭の先生方が活躍されているからです。それぞれの道に良さがあります。
 養護教諭養成機関には地域性があり、例えば国立大学法人で養護教諭を専門に養成する養成課程は中国四国地区では一つ(岡山大学)しかありません。ですから、進学のための地理的制約はあるかもしれませんが、今までの傾向では多くの県外出身の学生が入学しています(特別別科も同様です)。養護教諭の免許を取得するのに必要な時間も大事かもしれません。短期大学の養成課程なら、二年間で養護教諭二種免許状が取得できます。高等看護専門学校や医療技術短期大学などで看護師免許を取得された場合、特別別科で一年勉強すると養護教諭一種免許状が取得できます(合計4年)。養護教諭養成課程の場合は、4年間で養護教諭一種免許状が取得できるほか、必要な科目の履修により、中学校教諭一種免許状(保健)、高等学校教諭一種免許状(保健)を取得することができます。4年制看護系大学出身の場合、保健師免許を取得すれば養護教諭二種免許状を申請により取得できますが、特別別科で一年勉強すると養護教諭一種免許状が取得できます。養護教育専攻の大学院に進学することで教職としての専門性を高めることができるとともに、修士の学位を取得できます。
 養護教諭として仕事をする上で、看護師になるための勉強をすることは、とても役に立つと思います。しかし、看護師養成機関は、あくまでも看護師を養成するための機関です。養護教諭は教育職員(学校の先生)ですから、その養成のための専門の課程として教員養成系大学に養護教諭養成課程が設置されています。養護教諭になるための専門課程ですから、教育や学校について深く理解し、教育現場で十分な実習を受けられるよう配慮したカリキュラムが構成されています。
 毎年8月に開催される教育学部オープンキャンパスに参加して、よく情報収集し、最後はあなた自身がよく考えて決めてください。

15.養護教諭とソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの類似点や相違点について教えてください

 養護教諭もスクールカウンセラーもソーシャルワーカーも、学校で子どもを守り育てるメンバーの一員です。いろいろな悩みの相談に対応する点は似ている部分があります。では、違いはどうでしょうか?まず制度的なことですが、養護教諭は学校教育法により、小学校、中学校、高等学校などに原則1名以上が常時いることになっています。これに対して、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーは現時点では非常勤であり、いつも学校にいるとは限らない点が大きな違いの一つです。また学校には必ず保健室がありますが、養護教諭は保健室を中心に活動し、健康に関する情報を発信したり、子どもたちの相談に乗ったり、あるいはけがや病気の手当てをしたりします。このことは養護教諭の特徴です。
 また養護教諭は「教諭」という部分が示すように「学校の先生」としての仕事が中心ですが、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーは専門家として個別の相談に対応するのが一般的です。
 養護教諭は、健康や病気について授業でお話しをしたり、あるいはホームルームや学年集会などで子どもたち全体に保健指導をしたりします。そして普段から担任の先生たちと一緒に子どもたちの健康と安全をチームで見守っています。
 その他には、皆さんが児童や生徒だった時に気づかなかったかもしれない仕事もあります。例えば学校の環境が快適で衛生的かどうかを見守ったりしています。
 養護教諭の仕事に興味を持ってくださったのであれば、ぜひ在学中の学校や卒業した学校の養護教諭の先生に詳しいお話を伺ってみてください。きっと養護教諭になりたいと思うようなお話をたくさん聞けると思います。



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