これまで主に保育者養成大学に勤めながら、幼児教育の実践に直結した研究に取り組んできました。具体的には、「保育内容と幼児の社会的発達」、「保育者の心的成長とその支援」を主な研究テーマとし、保育内容の実践的な評価・改善方法の開発、学生及び現職保育者の実践への効力感、自我同一性の形成過程の解明などを推進してきました。
幼児教育・保育に関わる問題が山積する中で、幼児の発達を支え援助していくこれからの保育者には、専門的知識・技能の修得のみならず、保育者自身のたくましい自律性や自我の成長発達を基盤に据えた養成・研修が不可欠と考えています。このような観点から、「保育内容に焦点化した保育者支援に関する実践的研究」「保育者の心的成長過程の解明」等を継続していきたいと考えています。
主な担当科目は、教育学部(学士課程)では、「幼児の人間関係」「幼児の環境」「保育の心理学」等、教育学研究科(修士課程)では、「保育内容特論(人間関係)」「発達支援研究特論Ⅴ(幼児教育実践研究)」等、そして連合学校教育学研究科(博士課程)では、「先端教育課題総合研究」等です。
子どもたちの輝く笑顔を引き出す力をもった保育者を養成すること。そして、その後の更なるキャリア形成を支援し、保育者としての成長を支えることが自分の仕事と考えています。また、これからの幼児教育・保育の課題に取り組んでいく若手研究者の養成、現職者等の学位取得の支援にも力を注ぎたいと考えています。緑美しく、恵まれた学習資源を有する岡大キャンパスで、楽しくしっかり学び合いましょう。
私の専門分野は、子どもの持ち味を十分に引き出しながら発達を促す保育や支援のあり方について探究する『発達臨床心理学』です。
保育者には、一人ひとりの子どもの発達の様相を的確に見とり、必要な援助を明らかにして、個々の子どもに応じた保育を展開することが求められます。
学部生に対しては、「乳幼児心理学」や「幼児理解と教育相談の理論及び方法」の講義を通して、個々の子どもの発達や特性の理解と援助のあり方を、また、「家庭支援論」や「子ども家庭支援の心理学」では、保護者と連携しながら子どもへの理解を共有することの意義やその方法などを共に考えています。
大学院生に対しては、発達支援学系の3コース共通の科目のなかで発達心理学を復習する内容を担当しています。コース科目では、「幼児心理学特論」や「幼児心理学特論演習」を通じ、子どもと子どもを取り巻く人との関係に焦点を当て、個別の発達支援のあり方について受講生と保育の現場に出かけて探究しています。
現在は、保育という枠組みのなかで、個別の課題をもった子どもの発達支援に向け、より良い保育者と保護者との連携の体系化をめざしながら、養成教育段階における保護者対応力の育成について研究を進めています。保護者と共に子どもの育ちを支える保育者の在り方を一緒に追求していきましょう。
横 松 友 義 Tomoyoshi, YOKOMATSU 准教授
子どもたちが豊かに育つためには、保育者が子どもの本当の幸せを求めて、より良い保育を実現するための研究と実践を続けていく必要があります。
では、どうすれば、保育者は、主体的に、子どもの本当の幸せとは何かを追究し、自分たちの見いだした求める保育を実現するための研究と実践を続けることができるのか。また、保育者のこうした姿を実現するために、私はどうすれば役立つことができるのか。こうした問題意識から、私は、現在、保育現場アドバイザーとしての現場実践研究をしています。
幸いなことに、将来保育園や幼稚園を経営する志を持った若者たちも修士課程に入学し、保育現場での研究等を実施して、私は、保育現場アドバイザーとしてその研究等を支えることができました。そして、ありがたいことに、例えば、次の開発を行うことができています。①保育者が実際に達成を目指し、しかも、子どもの一生の基礎として納得できる保育目標を明確化する手順(実効のある保育目標の明確化手順)。②そうした保育目標を達成するためのカリキュラム(保育課程)の編成手順(現場で実際に機能するカリキュラムの編成手順)。これら修士課程学生が生み出した研究・実践の成果は、専門の研究者から一定の評価を得ています。
「自分の勤める園の保育を変革・創造していきたい」という人々と、共に歩みたいと念じています。
「みんなちがって、みんないい!」
様々な特性をもった先生たちが、それぞれの役割を果たしながら力を合わせて子どもの発達・成長を支えることができたら、先生たちも、その先生たちと生活を共にする子どもたちも、どんなに幸せでしょう。私はこれまで、自身が保育者だった頃に現場で経験をしたことや感じたことを基に、幼稚園教育における望ましいティーム保育の研究に取り組んできました。
主な担当科目は、学士課程では、「幼児の健康」「幼児体育」「子どもの健康と安全」等、修士課程では、「保育内容特論(健康)」「保育内容特論演習(健康)」「発達支援研究特論Ⅳ(保育内容学)」等です。これからの未来を担う子どもを育てる、子どもの未来をつくる、そのような保育者を育成することはとても重要な責務であると思っています。子どもは、経験を通して生きていく上で必要な力を身につけていきます。同様に、学生にも経験を通して保育をする上で必要な力や豊かな人間性を身につけて、子どもの未来をつくる保育者として、その自覚をもった明るく前向きな保育者を育てていきたいです。 知識だけでなく、「保育あるある」を少しでも伝えながら、現場での保育をイメージできるような実践的な授業を展開していきます。保育に教科書はありません。子どもや保護者の気持ちに寄り添い、子どもたちにとって魅力ある保育をつくる、そんなセンスを一緒に磨いていきましょう。
これまで、小学校、中学校、高等学校、美術館を舞台とした、造形表現活動を主とする観察研究や教材開発研究に取り組んできました。また、保育者養成に携わってからは、幼児が、素材、道具、造形物、友達、大人といった多様な他者と共に語り合いながら制作する,「対話」と「協働」をテーマにした教材の開発と実践について検討してきました。
保育者に求められているものの1つに、幼児が「感じたことや考えたことを自分なりに表現する」場をつくることによって、幼児の「豊かな感性や表現する力を養い,創造性を豊かにする」点があります。こうした幼児の人間形成を可能にする表現の場として、幼児と多様な他者との「対話」と「協働」を活性化させることのできる造形表現活動の理論の展開、教材の開発と実践を推進していきたいと考えています。
主な担当科目について、学士課程では、「幼児の図画工作」「幼児と表現」「幼児の造形表現」等、修士課程では、「保育内容特論(造形表現)」「保育内容特論演習(造形表現)」等です。理論を教授するだけではなく、観察した子どもの表現行為の過程や、教材の開発と実践の過程で子どもが経験した学びを捉えるため、理論を用いて分析し考察していく保育者としての実践力の育成を目指しています。
夢中になって活動している子どもと同じように、興味関心をもった出来事をがむしゃらに探究していく学生さんと、表現行為の可能性を探っていきたいと願っています。
井 山 房 子 Fusako, IYAMA 特任教授・附属幼稚園長
※大学院は教職実践に所属
▶ https://fuyou.okayama-u.ac.jp/