キー・コンピテンシー
コンテンツ詳細
出版社/著者からの内容紹介 学習の力を考える時、これまでの知識や技能の習得に絞った能力観には限界があり、むしろ学習への意欲や関心から行動や行為に至るまでの広く深い能力観、コンピテンシー(人の根源的な特性)に基礎づけられた大きな視点が必要となりつつある。 本書は、国際化と高度情報化の進む現代世界に共通する学力とは何か、その問題に答えるためOECD(経済協力開発機構)が取り組んだ国際的・学際的プロジェクト(DeSeCo)の成果である。 DeSeCoは、学際的な領域の専門家と12ヵ国の政策担当者との協働により先行理論や国際調査の研究課題、各国の教育政策や労働政策を整理し、各国の状況を踏まえながら、将来の国際調査に共通する能力の概念を3つのカテゴリーにまとめ、教育、経済や政治、福祉を含めた広い生活領域に役立つ新たな概念を定義した。各個人や各国社会が共に生きるための学力の国際標準化をめざし、キー・コンピテンシー(鍵となる能力)という概念を提示したのである。学校を基盤としたPISA(OECD生徒の学力到達度)調査も国際的な成人能力調査も含め、生涯にわたる能力概念が必要とされることからこの概念枠組みが提案された。 コンピテンシーとは、人生にわたる根源的な学習の能力であり、単なる知識や技能の習得を越えた新たな概念である。それは、学校だけでなく、家庭や職場、地域を含めた日常生活の世界の中で育まれ、この力を身につけ、よく知ることが、私たち一人ひとりの人生の成功と、よりよき社会を形成する鍵となる。 本書の問いは次の2つである。第1に、読み、書き、計算力と別に、どんなコンピテンシーを習得すると、人生の成功や幸福を得られ、社会の挑戦に応えられるか。第2に、学習や就職、人間関係を作る時、昇進する時、引退する時など、そして青少年から高齢者にいたるまで、生涯のどんな時や場所でどのコンピテンシーが重要となるのか。またそれは、国や地域、年齢や性、階層や職業などの条件に関わらずどこでもいつでも役立つのか。本書ではその回答として、特に重要な3つのキー・コンピテンシーが示される。