岡山大学大学院教育学研究科・教育学部ESD協働推進センター

ウェビナーのご報告

 去る6月2日、ESD協働推進室助教の柴川弘子が登壇した、マレーシア国際イスラミック大学(International Islamic University Malaysia:IIUM)・建築&環境デザイン学部 Irina Safitri Zen助教との共同研究「ESD岡山モデルの再訪:マレーシアのESDの再方向付けに向けての教訓」(令和2年度住友財団日本関連研究助成事業)の一環としてのウェビナーの録画が公開されています。

 シリーズ第2回目となる今回は、「RIVER CARE:The Implementation of Education for Sustainable Development(川をケアする:ESDの実践)」と題し、岡山からも川の活動に地道に取り組んで来られた2名の方が登壇します。マレーシアからは、汚染された川の環境改善と教育活動に取り組んできたFriends of Riverという活動や、マレーシア先住民族(Orang Asli ※「森の民」という意味)に寄り添い、また彼らの知恵に学びながら自然環境の改善と教育に取り組むJungle School Gombak(私設学校)など興味深い事例の発表がありました。

 発表中も、チャット機能を活用して、質疑応答があり、マレーシア参加者からは日本・岡山の川に関わる活動を切り口としたESDについて盛んに質問が出されていました。
 特に関心を集めていたのは、地域と学校の連携です。例えばマレーシアでは、川の活動やゴミを集める活動は「教育」とは無関係と認識されることがあり、川の清掃活動を学校と連携した行った実践者の方は保護者からのクレームによって活動が継続できなかったこともあるということです。

こうした活動を単に清掃活動ではなく、いかに学習活動として昇華させていくかは、もちろん日本・岡山の学校にとっても課題ではあります。

 教師や地域の大人がリーダーシップを取ることは重要ですが、そのことは答えに導いていくこととを意味するのではなく、課題の最先端にいる市民あるいは弱い立場に置かれた、例えばオーラン・アスリの人々のような – 最も被害を被っている人々に寄り添い、共にあろうとする姿を大人たち自らが見せること、あるいは生命の大切さや不思議さ、そしてはかなさに触れる体験を自らすることで、経験は結果として深い学びになるのではないか、といったことを協議することができました。
 
 また、マレーシアでも同様の志を持って活動する教育者・研究者・実践者・学生のみなさんと繋がれたことは喜ばしく、今後の相互交流の発展の緒となるウェビナーとなりました。次回以降は日本の学生の皆さんにも積極的に参加いただきたいと思っています。
 


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